許嫁(いいなずけ)・壱

謀(はかりごと) /幕間10

side 飯田強兵




やっと。やっとだ!

やっと今日、松江匠とあの小憎らしい側近2人があの世に逝く!

俺は悲しみの底にいる春菜に優しく寄り添い、愛を勝ち取る。




「若頭っ、画像が来ました!」



タブレットを持つ配下が叫ぶ。



「かせっ!!」




そこには少し遠い画像ながら、春菜と松江匠、黒ぶち眼鏡の側近、羽川凍夜や、数人の松江の組員が映っていた。




『もしもし?』




パン!パン!!



ぞくぞくする音がして黒ぶち眼鏡がみっともなく地面に沈む。



くくくくっ…ざまぁみろ!
可愛そうになぁ、お前、オカマ野郎に撃たれて死ぬんだぜ?

惨めだよなぁ?



俺は食い入るように画像から、松江匠を探す。




『天城くん!』



『いやっ!天城っ!!』


『駄目です、お嬢。』


『離せっ!!』




引き留める羽川に蹴りを入れ、松江匠の方に駆け寄る春菜に思わず叫ぶ。




「バカ!春菜っ!なにやってる!」


『バカ!来るんじゃねぇ!』




俺の声と松江匠の声がシンクロした。



パン!パン!パン!!



銃声の直前、松江匠は春菜を抱きしめ、背中で銃弾から春菜を守って倒れた。




『いやっ!匠っ!!』



『‥‥‥』



答える松江匠の声は小さくマイクでは拾えない。



『匠っ!!やあっ!!』



春菜が叫び、



『救急車っ!急げっ!!』




側近の声で画像は切れた。





「くくくっ、3発の銃弾食らっちゃ、ひとたまりもねえよなぁ。」





『どう?満足した?』



スマホから聞こえる声は、源氏名を真子というニューハーフ。




金に困って300万で2人の暗殺を快諾したヤツだ。



『あら、銃なら撃ったことあるわ。元カレがやんちゃだったしい?』




なかなか頼もしい女、いや、男だった。




俺は準備金に100万渡し、殺害の様子をビデオに撮る様に依頼した。



依頼して2日。まさかこんなに上手く行くとはな。





『残りの振り込みよろしくぅ!』



俺は配下に指示し入金をさせた。

別に無視してもよかったが、なにしろ松江匠が消えたんだ、嬉しくて小躍りしたい位だ。







0
  • しおりをはさむ
  • 5334
  • 3984
/ 849ページ
このページを編集する