許嫁(いいなずけ)・壱

無くしたもの・掴み取るもの /幕間11

side 葉崎真治





「相変わらずラブラブだねぇ。」



俺の目の前のテーブルに座るカップルは、俺の頭の匠さんと嫁さんの(みたいなもんだよな。)春菜ちゃん。



春菜ちゃんと初めて会ったのは小学1年生のころだけど、大人になったよな。

ふわふわと可愛らしい彼女はいつの間にか男の眼を引き付ける。

守役の凍夜が走り回ってて大変そうだ。てか…。




「天城くん。」




俺は目の前の黒縁眼鏡の如何にも腹黒そうなイケメンに話しかけた。

彼はうっとおしそうに俺を見る。

うっ!負けるもんか。





「なんですか?」




「俺、もうすぐ結婚してパパなんだよ。」



「ですね。」




「いや、だからさ。」




うーん、うーん、どう言ったらいいのか?と悩んでたら、




「わかってますよ。そろそろ落ち着きたい。でしょ?」



面白く無さそうに口にした。



「うん。それ!」




こくこくと縦に首を振る。



もともと俺はたいして女好きではない。
人懐っこいから男女問わず友達が多かったけど、普通だった。

それがこの軽薄女好きキャラに育ったのは松江匠さんに出会ったせいだ。

あ!いや、匠さんにと言うよりやっぱり天城くん。
天城充に出会ったからだな。





俺は隣のテーブルでキスを交わす恋人達、そして目の前の冷酷そうなイケメンに視線を移した。




「まさか、こんな風になるなんてね。」




俺がしみじみと口にすると、





「よく逃げ出さずについて来ましたね。」




呆れたように天城くんに言われた。

これはもしかして…




「褒めてる!天城くんに誉められたの初めてっ!」




嬉しくてテンションが上がる。
彼は毒舌家で素直に人をほめない。喜んだ俺に、




「呆れてるんですが?」



ほらね?褒めたらすかさず冷水を浴びせるツンデレ君だ。









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