許嫁(いいなずけ)・壱

暴走族のカリスマ /幕間2

side 天城 充





「匠さん、えらくやる気じゃん。」



波多野の半分寝てるみたいな声に、葉崎の軽薄な声が答える。




「まあな。近畿の方のヤクザに影響を受けんだよ。
さっきもここにスパイがいたんだぜ。」




「へぇ…凄いな。」



本気にされてねえな。
まあ、軽い言い方の上、信じがたい内容だからな。
無理もない。



「マジですよ。
山口友也がハーレーを追跡してます。」



俺の声に波多野が反応した。



「ハーレーを!?」



…そこに反応するのかよ。



「ソイツ今どこだ?」



追う気ですか。




「残念ですね。北陸自動車道、米原ジャンクション。」



「あ?」




「追跡許可はそこまでです。」



「山口が追い付けないのか。」



波多野は目を見張った。やっと目が覚めた感じですかね。



「上には上がいるんですよ。」



笑いながら言う俺に、




「そりゃあ、気合いも入るか。」



ニヤリと笑って見せた。







「波多野っち、俺の言うこと信じてねえんだ!」




傍らで葉崎は怒るが、




「お前、軽すぎ。言葉も態度も。」




「‥‥‥」




波多野に言われて今更みたいに葉崎が凹んでやがる。仕方ないフォローするか。




「波多野、葉崎は確かにバカみたいに軽薄ですが、嘘はつきませんよ。」




俺の言うことに感激してうるっとしている葉崎。




「‥‥まあ、」




同意した波多野に、




「ただ、冗談と本当の境界線の見極めが難しい。
それは葉崎本人の責任です。」




「「は!?」」




二人がポカンと俺の顔を見る。





「…上げて落とした。」



「何時もの事だろ。

真治、お前もいい加減充さんの性格掴めや。」



ぼそぼそ会話する2人に背を向けた俺に、着信が入った。






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