許嫁(いいなずけ)・壱

女子高生の恋模様 /桜華爛漫

side 松江春菜






コンコン!




夕食に間に合う時間に桜華学園寮に帰った私は、迷わず亜依さまのお部屋を訪ねた。





「亜依さま、よろしいですか?」




「春菜?どうぞ。」




ドアを開けて微笑む亜依さまに私の顔も緩んだ。




「完全復活したようね。」




「はい。亜依さまのお陰です。」



亜依さまの言葉が無ければ、無理して匠に会いに行くなんて考えもしなかった。


「悩み事は無くなったのか?」




「1つは。でも別の綺麗な方が彼の側にいらして…。」



「なんだそれは?ソイツ女好きなのか?」



「ち、違いますっ。
ただのビジネスパートナーです。私が勝手に嫉妬して…笑われてしまいました。」




匠にもケイさんにも全くその気は無かったし。




「大丈夫ですわ。
どんな強敵でも負けられません!妻ですもの。」



にこりと笑って…


笑って?



あ、あれ?



亜依さまの顔がひきつってる?





「春菜、妻って?」




「ひっ、ひえ?」




やだ私、暴露しちゃった!












「…吐け。」




ひぇぇぇ!!
極道バージョンの亜依さまが現れたっ!













一般人の亜依さまにまさか極妻になりました。などと言える筈もなく。




「…父の具合が悪くて、ずっと許嫁として私を支えてくれた方と入籍したんです。
父の希望と私も望んで。
もちろん形式だけ。父が元気なら卒業して直ぐに式を挙げるつもりですの。」




一気に言い切り、亜依さまの顔色を伺う。







「…春菜は幸せか?」




真っ直ぐ私を見詰める綺麗な瞳に




「…はい。とても幸せですわ。」



私も亜依さまの瞳を真っ直ぐ見つめ返し、にこりと微笑んだ。














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