許嫁(いいなずけ)・壱

女子高生の恋模様 /嫁入り事情

side 松江春菜





どろどろに溶けてしまいそうな夜。

ううん、昼間だったんだけど
快感なのか痛みなのか、頭が熱くて焼ききれそうで、遂には真っ白になって、闇に堕ちた。
そんな記憶。

抽象的?

具体的な記憶の再生とか…無理無理っ。

だって私の足が、あ、あ、足首を捕まれてあ、あんな…
やっぱり無理っ。

恥ずかしくて死んじゃうっ。





匠は容赦ないけどやっぱり優しくて、鳴かせ続けた私にお水を口移しで飲ませてくれた。

キスマークだって見える所には付けないでくれたし?そりゃあ、胸元が空いた服とか、ショーパンとか、ミニスカートは無理だけど…うーん作為的?なのかな。

でも目を覚ましたら、ちゃんと抱き締めてくれてた。
眠ってる間にお風呂に入れられてたみたいなんだけど(石鹸とシャンプーの匂いがしたしパジャマも着てた)恥ずかしかったけど記憶はないし、無かったことにしよう!うん。


つまり、なんだかんだ言っても結局、匠の腕の中で目覚めた今朝は、



「すごく幸せ。」




私は見た目より厚い匠の胸に顔を埋めて呟いた。











「…誘ってるのか?」




「…ひえっ!?起きてたのっ!?」



至近距離で私を見つめるイケメンは意地悪に笑い、簡単に私を組伏せる。




「た、匠っ…あの、やり過ぎじゃないかな?」




夕御飯食べた記憶がなかったんですが?

気を失うまでエッチするとか、信じられないんですけど。




「新婚なんてこんなもんだ。」




え、そうなの?知らなかった。

みんな何てタフなんだろ!



「いただきます。」




「え?…っ、ん、ん~?!」



ぼんやり考え事をしてたら匠のキスが降ってきた。

深いキスに涙目になって匠を睨むと、




「悪い。飯だよな?」




私を抱いたまま腹筋で起き上がり、
クローゼットに向かい、白いワンピースを取ってくれた。




「…ありがとう。」




お礼を言う私に笑いかけ、背中を向けると着替え始める。




「…龍と菜の花?」




背中の彫り物…しげしげ見たの初めてだ。




「お袋の振り袖の話聞いて迷わず決めた。

デザインしたのはそれぞれ別人だし、多分振り袖とは柄が違うぞ。」




「いつ頃彫ったの?」





「高校卒業した春。」




綺麗な龍は黒いシャツの下に隠れてしまう。




「…あ。」




「うん?どうした。」




「もうちょっと、見たかったかな…?」





私が残念そうに言うと、





「…お前が誘うならいつでも裸になってやる。」




意味ありげに笑うから、
赤くなってうつ向くしかなかった。



私の旦那様は優しいけど意地悪だ。







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