許嫁(いいなずけ)・壱

女子高生の恋模様 /巡り合わせ






「何があったんですの?」



理事長から直々に呼び出しなんて!



「さあ?思い当たることは…。」






言い淀む亜依さま。頭に浮かんだのは…
もしかして志藤組?




まさか?




私と亜依さまはアイコンタクトを取る。

桜華学園でのサークル活動には理事会の…いえ、理事長片桐誠之介の許可がいる。


まさか、個人のファンクラブに下りた許可が生徒間交流会に下りないの?




「心当たりはないけど、取り敢えず行ってくるわ。」



立ち上がった亜依さまに私も慌てて立ち上がる。




「理事長室までご案内しますっ。」



慌てる私に、




「ありがとう。頼みます。」



亜依さまは笑顔を見せた。

片桐誠之介は裏世界のドンと言える侠客で、亜依さまのご実家成瀬組が所属する関東龍聖会も、私の実家の七瀬組が所属する近畿敬侠会も、元をただせば片桐誠之介に行き当たる。



今は情報操作されていて、知る人は少ない。



私は胡桃、梓と共にヤクザの娘だとわかった時、片桐誠之介の過去を話をした。
理事長が片桐誠之介だからヤクザの娘が多いのだろうと。
柳井妙子は当然のように知っていたし。




だから、だろう。


亜依さまが廊下に出ると、心配した胡桃と梓が駆け寄り
「生徒会室でお待ちしていますっ。」

涙目になっていたし、



「亜依様っ!理事長の横暴に負けたらあかんでぇー!!」



わらわらと集まる人混みには一年生もいて、
ひときわ大声で叫ぶのは柳井妙子。相変わらずの関西弁。私から話を聞いていた亜依さまは、




「あなた、柳井妙子さん?」


柳井妙子に声をかけた。





「いやぁぁっ、亜依さまが!うちの名前を呼んでくれはったぁっ!!」




「‥‥‥」



騒ぐ柳井妙子に亜依さまはドン引き。


騒ぎが大きくなり、理事長の素性を知るものからヒソヒソと情報が広がる。





「早く行かねえと騒ぎがでかくなりそうだ。」




亜依さまは苦笑して私に案内を急かした。





0
  • しおりをはさむ
  • 5332
  • 3977
/ 849ページ
このページを編集する