許嫁(いいなずけ)・壱

進級と夫婦関係 /話し合い



春菜が桜華学園の3年生に上がる春休み。
最初の日に春菜は学園から直に松江に帰って来た。



「春菜ねぇっ!」



「隼人くん!またおっきくなったね。」




チッ!俺より先に隼人が熱烈歓迎しやがった!




たたたたっと俺の足元を駆け抜けて、春菜に飛び付いた隼人に舌打ちが出る。






「大人気ないですよ。」




充は無表情で呟きやがるし、




「匠。ただいま。」



それでも隼人と手を繋いだ春菜が、俺に笑いかければ、




「お帰り。」




俺は口許が緩むのを隠せなかった。





「だらしない。」




橘までからかいやがる。
うるせえよ!自覚済みだ。文句あるか!!



俺が春菜に気付かれないように橘を睨み付けてると、



「隼人くん、ちょっとまってて、匠と大事な話がしたいから。」



春菜がしゃがみこんで、隼人の目を見ながら、話している。





そうだな。お互い話をするためにここにいるんだよな。




「おはなし?それ、長いおはなし?」




「そうだね。どうかな?」




隼人の質問に、春菜はしゃがんだまま俺の目を見た。




俺は春菜の横に並んでしゃがむと隼人に話しかけた。



「沢山話があるからな。晩飯までは隼人と遊べねえな。」



「ええ~っ!!」



隼人が頬を膨らませた。
今はまだ昼前だからな。
不満なのは良くわかる。




「その代わり、昼飯は若頭邸で3人で食べよう。」




俺の提案に隼人は喜んで跳ね回った。




「やったぁ!!
春菜ねえも一緒っ!!」




「そうに言えば、隼人くん子供部屋で寝てるんだっけ。」




「うん。匠にぃが寂しいから。」





「そっかぁ。隼人くん優しいね。」




春菜の声に苦笑する。

寂しがりは隼人の方で、親父がいない時は俺のベッドに潜り込むことも多かった。







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