許嫁(いいなずけ)・壱

進級と夫婦関係 /幕間 17

side 松江隼人




30分後。本宅1階食堂。






「ほぉ、『それは俺の胸だ。』ねぇ?」



天城が僕の話に楽しそうに笑った。

めずらしいな。いつもくーるなのに。




「それで、それでっ、春菜ちゃんはどうしたのっ!」


さっきからワクワクした顔を向けるのは、風花ちゃんのパパの葉崎真治。



「ん~と、春菜ねぇは、ねぇ…真っ赤っかになって、怒ってた!
『匠サイテー!!』って。」





「ぎゃはははははっ!マジか『松江の狂犬』がっ!?」


「笑っちゃ気の毒ですよ。真治さん。」



「あ、そう言う日向だって笑い堪えて涙目だろ。」



天城と風花パパにお茶をいれてきたのは日向那智。

3人で話してることが多くて僕ともよく遊んでくれる。


今は、1人でご飯を食べに来た食堂で3人に囲まれたところ。




中々起きて来ない匠にぃと春菜ねぇの事を、いろいろ聞かれてしゃべってる。





3人の中では日向が一番下っ派みたいだから、
ぼくはずーっと弱いのかと思ってた。




弥生ばぁばに聞いたら、



『あの3人は松江の『悪魔』と『チャラ男』と『クリオネ』です。
見た目に騙されちゃダメですよ!』




腰に手を当てて教えてくれた。でもね、



天城が怖いのは皆がおびえるから知ってるし、

風花パパがチャラ男なのはまんまだし、

クリオネはね、図鑑で見たから知ってた!

寒い海の氷の下にいるピンクのかわいい生き物。
日向も確かにかわいい顔だ。

でもね?



僕は、ついこの間、悪いことした組員を、日向が普通の顔でタコ殴りにしてるのを見た。



そう言えばクリオネは、エサをとるときに悪魔みたいになるんだよね。


弥生ばぁばのネーミングセンスは『クリオネ』が一番ましだと思った。







「…で、なんで隼人さんは1人で食堂に?」




天城が聞くから、つい。




「春菜ねぇは立てないからお部屋で食べるんだって。
匠にぃは付き添い。皐月ばぁばがご飯を持って匠にぃの部屋に行ったよ。」





「…マジっすか。」



「匠さん、頑張ったなぁ。」




「「ぎゃははははっ。」」





「なるほど、隼人さんは体よく追っ払われましたか。」



「えっ!?
追っ払われたの!なんで?」




僕は、二人が大好きなのに!
悲しくて泣きそうになった。







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