許嫁(いいなずけ)・壱

暴走族のカリスマ /幕間3

side 柳原弥生



私の名前は柳原弥生。
58才。既婚。

旦那は松江組構成員、柳原莫(ヤナギハラバク)56才。
莫は本家の安生さん付きの護衛頭。子供はない。


夫婦揃ってどっぷり松江組に浸ってる。

莫は安生さんに惚れ込んでるし、
私はもちろん奥様に。普通は姐さんと呼ぶらしいけど、奥様からのたっての希望で奥様と呼んでる。


安生さんについては、毎朝奥様にご挨拶をしにいらっしゃるタヌキみたいな人と言う印象しかない。

莫が言うには、松江を動かす要みたいな人らしい。頭が良くて喧嘩も強いんだって。人は見掛けに寄らないわ、うん。


私には奥様以外にも気になる存在がいて、それが独り息子の匠さん。

子供の無い私に取っては本物の息子のようにかわいい。

奥様が臥せり勝ちなせいで、小さい頃から甘える事を我慢されることが多い匠さん。

事実2度、奥様は匠さんの前で倒れて救急車で運ばれている。


だから母親は脆くて、いつ居なくなるかわからない存在だと思ってる。



そんな匠さんに奥様は、



『沢山お外で遊んでお話を聞かせて。』



と、優しく微笑まれた。




『母さん、任せて!』




大好きな奥様に指命を託された匠さんは、



あるときは築山の岩を退かして、山のようなダンゴ虫を捕獲して帽子の中に入れて部屋に持ち込み、

あるときは池に飛び込み、殿様ガエルをお土産に泥でベトベトになってご帰還。

またあるときは、通学路で車に轢かれた蛇を靴袋に入れて差し出されて、

幸いその時は奥様がお休みでドアの所で受け取った私が中を見て腰を抜かしましたけどねえ。



男の子って、トンでも無いことをするんだとビックリしましたっけ。



まあ、今となれば心暖まるお話ですわね。






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