許嫁(いいなずけ)・壱

松江匠吾の決断 /ジイさんの過去




夕食後、クタクタになるまで隼人と遊んで寝落ちさせ、

翌日朝、いつものように歩けなくなるまで愛した春菜を抱いて車に乗せた。







「匠のバカ!」



甘く睨む春菜は多分本気じゃない。と、思っている。



「良いじゃねえか夫婦なんだし。皆、事情は知ってる。」




澄まして言うと、




「それが居たたまれないのっ!!」



春菜が真っ赤になった顔を伏せた。

もう一度ベッドに引きずり込みてえ!






「出来ちゃった婚!期待できるかもっ!!」




「やあね。もう婚姻届けは済んでるんだし。」




「そうだったわねぇ。うふふふっ。」




「「‥‥‥」」




俺達の側で聞こえよがしに話す弥生さんと皐月さん。
何の期待だよ。

ちゃんと避妊してるから『出来ちゃった』はねえぞ!


「もうっ、匠のせいで恥ずかしいっ!!」




しばらくまた会えなくなるのに、春菜はつれなくそっぽを向いた。



「自業自得ですね。」




嫌味をかますのは充で、




「春菜さま、お気をつけて。」



車の中の春菜に軽く頭を下げる。






「春菜ねえっ!!」




車の中の春菜に、パタパタと駆け寄るのは隼人で。




「早く帰って来て!」




七瀬に出かける春菜に無茶を言う。
このまま春休み中は七瀬の父親の病院に詰め、桜華学園に戻る予定だ。

隼人も聞いている筈だが。
きかん気な隼人を持て余し、



「そうだね。パパの具合で、学園に帰る前に松江に寄れるかも。」



春菜はそんな妥協案を出してきた。
マジか!くそっ。それなら俺も、物わかりの良い夫を演じずに我儘を言うんだった。




「…匠さん、学生結婚しただけでは足りませんか?」



かなり無茶を通してますよねと、目付きで充に言われ、極寒の眼差しを向けられた。




「悪かったな。溺愛してんだよ。文句あるか!




隼人と指切りしてる春菜を見る俺に、
充は呆れてため息をついた。







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