許嫁(いいなずけ)・壱




「岩泉、日向、春菜を頼む。」




「「はいっ!」」




今回春菜には二人を着けて七瀬に送らせる。
使用車は俺の防弾車。いざと言うときは籠城できる要塞車だ。




「行ってきます。」



窓を開け、皆に笑いかける春菜は、俺と目が合うと軽く睨んで舌を出した。

滅茶苦茶かわいいな。




「なんてだらしない顔ですか。崩れ過ぎです。」




放っとけ!


今日は凍夜が来る日でもあり、ジイさんに円城寺礼の事を聞く日でもあった。



こんな風にまったりできるのも今だけだ。



小さくなる車を見送り、背を向けた俺は、充にジイさんの帰宅時間を確認した。



「多分あと1時間程かと。」



「凍夜は?」




「昼前には。」




ジイさんの帰宅の方が先か。
俺はスマホを取りだし、ジイさんの携帯を呼び出した。





『匠か?春菜ちゃんは七瀬に行ったか。』





「ああ。その口調なら、俺の話も見当は付いてるんだろ?」




『円城寺礼への苦情…じゃろ?』





「わかってんじゃねえか。」




『そう怒るな。
円城寺礼の婆さんには恩がある。昔、真弓との仲を取り持ってもらったんだ。』



「‥‥‥」




恩…?



「じゃあ恩返しで円城寺礼を松江の本家にいれたのか?」



『ああ。詳しい事情は帰ってから話す。
本家に寄る前に若頭邸に顔を出そう。』




「…わかった。」




ジイさんとの通話を終え、充を伴い若頭邸に入った。







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