許嫁(いいなずけ)・壱

好敵手(rival) /近畿敬侠会




4月、俺は天城充と同じ私立高校に入学した。

卒業と同時に極道の世界に飛び込むつもりだったが、表の商売にも関わる気なら経済学も学べと充に助言されたが故。

どうやら自分が進む金沢の大学に俺も引っ張る気だ。

俺は正直まだ大学に進むかどうかは決めてない。

夏休み。

近畿敬侠会を訪ねる。

それで俺の頭はいっぱいだったから。












「いよいよ明日行くのね?」


お袋の部屋に行くと、春菜への土産を持たされた。



「ゆき饅頭でいいじゃねえか。」



北陸の銘菓だ。
俺が肩を竦めると、



「「女心が分かってない!!」」



お袋と弥生さんから罵倒された。

…んなもんわかるかよ。俺は男だぞ。



しかも、デカイし。
なんだこのヤタラにデカイ熊のぬいぐるみは!




「テディベアですよ。春菜さんのお気に入りです。」


「へえ、」



よく知ってるな。

感心すると、

当たり前です。日曜日にお喋りするのが日課なんですと、どや顔で言われた。


可笑しいかかねえか?許嫁の俺でさえ月1の電話なのに…。

そう呟いたら。




「「なんて手抜きなの!!」」



また責められる。

女ってのは面倒臭い生きもんだな。



「この小さい紙袋は?」



「それはシュシュ。髪をくくる為のゴムに綺麗な布を巻いたモノよ。」



春菜ちゃんくらいならこれくらいがいいかなって。
あの子の大好きな朱色にしたの。

お袋が微笑んだ。



まったく、ずいぶん気に入られたもんだな。俺の許嫁は。








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