あい・編む 

再出発 /変化

その日は朝から縄手さんの様子がおかしかった。



何時もなら誰か数人と喋りながら教室に入って来るのに、




「おはよう。」



今日は何時もより早く来たし一人で、しかも顔色も悪い。声も小さいし。




「…気分悪い?酷い顔色だよ。」



保健室にいった方が良いかもと言いかけたとき、



「花房さんっ!」



切羽詰まった声で私の名前を呼ぶ。



あ!デジャブ!



『真由加っ!』



リスカした痕を見つけられた時の流星ちゃんの顔と縄手さんの顔が重なった。



「…っ、なんでもない。」



何人か教室に入ってきたのを見た縄手さんが私から離れようとした。
私はあわてて彼女の制服を掴んだ。



「何でもなくないでしょ!」



「…え?」



「顔色悪いし、泣きそうじゃない。私なんかにすがろうとしてるし…」



「ご、ごめんね。」



謝ってほしい訳じゃない。
てか、何時もと違いすぎて調子が狂う。



「だから。
何時もの押しの強さは何処に置いてきたの。話くらい聞くから。」



「え?でも…」



「学校で出来ない話なら駅前のカラオケ店で。
ただし花房の管轄だし、送り迎えは花房の車だよ。」



怖がってうんとは言わないかも…
そう思いながらも言わずに居られなかった。


いつの間にか情が移ったみたい。



「…ありがとう。嬉しい。」



縄手さんは無理して少し微笑んだ。


その日はずっと二人で居た。
お喋りしてる訳じゃないけど、私が一緒だと皆遠慮して近づかないし。皆物言いたげに縄手さんを見てたけど、彼女がそうしたがってる感じだったから私も彼女の側を離れなかった。


私たちに声をかけたのはたった一人。


「やったじゃん。壁ひとつ越えた感じ?」


御嶽トオルだけだった。

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