君に惹かれ、君を恋う【完】

第一楽章 /ムスカリ


朝起きて洗顔、朝食、歯磨き、着替えといつも通りの支度をし終える。


そして部屋の奥に置いてあるグランドピアノへ向かい、白い鍵盤を人差し指で軽く押さえると“ぽーん”と一つ、ラの音が防音されている部屋に響いた。

それを歯切りに指を動かし、次第に部屋の中は音でいっぱいになる。


その空間は、嫌いではなかった。



一通り基礎練習が終わり一息つき、



「…曲の練習もしとかないと」




呟き私は再度指を動かす。


指揮者に注意されたところ、自分の苦手なところ、皆が合わせてくれるが自分も皆に合わせようと気をつけながら。


その場面を思い浮かべながら、弾く。




「やっぱり、協奏曲は苦手だなあ」



弾き終わり、ぽつり不満を漏らした。

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