君に惹かれ、君を恋う【完】

第三楽章 /エーデルワイス


風鈴の音が心地よい田舎のお昼時。

都会より何倍も青が強い空に、やはり都会より多い蝉の声。



「なっちゃーん!!ピアノ弾いて―!!」



そんな耳五月蠅い蝉の鳴き声に負けんばかりの元気な声で我が妹は私に言った。


実家に帰ってきて早くも五日が過ぎ去った。

その五日間、毎日桜が私にピアノを弾いてくれと強請ってくる。


それが嫌ではないのは、自由に弾いても喜んでくれるからだろう。



「今日は何の曲弾こうか?」



いつもと同じ言葉で問えば、うーん、といつもと同じように悩む桜。


決めてから強請ってくれればいいのに。

でもそういう単純な所も可愛いと思う私は相当なシスコンなのだろう。


成長しない妹にも救いようのない自分にも小さく笑みが漏れる。



「今日はきらきら星聴きたいな!」



聴きたい曲が決まった桜は私に満面の笑みで言い放った。



「え?きらきら星?」

「うん!」



意外なリクエストに拍子抜けし、思わず訊き返してしまえば桜は相変わらず可愛らしく頷いた。
 

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