君に惹かれ、君を恋う【完】



「こんにちは」



平然を装って返せばハルさんはいつも通り隣に腰かけた。

そんな当たり前になってきていることにすら嬉しくなる。


すると彼は私の膝の上に置いてあるフルートを見た。



「お、久々だね」

「はい。いろんなことが落ち着いてきたので久々に持ってきました」



言えば、そっか、と頷く。そして、



「そういえば、コンクールはどうだったの?」



ハルさんが思い出したように私に問うた。


覚えてくれていたんだと嬉しくなるが、そう言えば聴きに来たいと言ってくれたのに結局来れなかったんだとまた少し申し訳なくなった。


あの時ちゃんとコンクールの詳細を知っていればネット配信があると教えることが出来たのに。

本当に自分の無頓着さに嫌気がさす。



「…嬉しい事に、一位を取ることが出来ました」



自分自身に悔みながらも、遠慮気味に言えば、



「え、凄い。おめでとう」



ハルさんは自分の事のように嬉しそうに声を弾ませて言った。



「ふふ、ありがとうございます」



それに反射的に自然と笑って返すことが出来た。
 

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