君に惹かれ、君を恋う【完】

第三楽章 /ツユクサ



「薺ちゃーん!お土産ありがとー!」



バイト先の扉を開けて入るなり、茶髪でゆるくパーマをかけて一見チャラく見える安堂さんが私に抱き着く勢いで言ってきた。



「おはようございます、安堂さん。お土産食べてくれたんですね」

「勿論だよ!美味しかったよ~」

「それはよかったです」



笑って言えば、やっぱり可愛いねー、と私の頭を撫でる。ハルさんとはまた違った骨ばった手で。

そしていつもの光景にマスターは笑って見ている。



「薺ちゃん、おはよ。朔君は放っておいて早く準備しておいで」



マスターの言葉に頷きスタッフルームに入って準備する。



安堂さんに頭を撫でられた時、一瞬彼を思い出してしまった。


安堂さんは軽く笑って流せるのだが、ハルさんの時は堪らなく嬉しくて、照れた。

同じ行動でも、好きな人とそうでない人とではやっぱり違うのだ、なんて恋愛初心者ながらに分析する。


そして無意識に比べてしまっている自分がいて安堂さんに申し訳なくなると同時に少し恥ずかしくなった。
 

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