君に惹かれ、君を恋う【完】

第三楽章 /ノバラ


受賞者コンサート当日。

大嫌いなホールへ足を運ぶ。


ハルさんは来ないというだけでこんなにもやる気が出ないなんて思っていなかった。

しかし、これからもハルさんが必ず演奏を聴きに来てくれるとは限らない。

これからは弾く理由がなくても弾かなくてはいけない時だってくるんだ。

寧ろそちらの方が多いだろう。


あぁ、聴きに来てほしかったなあ。


なんて、またもや初めての感覚に戸惑う。


まりあちゃんが誘うのは当たり前だなんて言っていたけれどその気持ちがほんの少しだけ分かったような気がする。

私はまだまだ知らないことだらけだだなあ。


赤いドレスを来て控室の椅子に座ってそんなことを考える。



「あの、小林さん、ですよね?」



すると私の目の前にブレザーの制服を着た女子高生がやって来た。

確か今回のコンクールで審査員賞を取った子だったはずだ。


このコンクールに出ている年齢層は幅広い。

受賞者の中には彼女以外にも学生が何人かいた。
 

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