君に惹かれ、君を恋う【完】

第三楽章 /カンパニュラ


丘へ向かう。

昨日見た彼の作品を思い出しながら。


昨日も花展の帰りに丘へ寄って暫くいたのだが、彼は来なかった。

無理もない。昨日は花展の最終日できっと会場の片付けや他にもしなければいけない事があっただろうから。


今日は、来てくれるといいな。


そんな事を願いながら丘へ足を運べば、



「あ」



ベンチに着物を着た彼が座って空を見上げているのが見えた。


あれだけ会いたいと思っていたのに、いざ彼を見てしまうと足を進めることを躊躇ってしまう。

しかし、彼は私に気づいてしまっていて、こちらを見て微笑んだ。


それに、あぁ、好きだな、咄嗟に思う。



「こんにちは」



昨日とは違ってハルさんはいつもの様に挨拶をした。



「こんにちは」



それに私もいつも通り返してハルさんの隣に腰かけるが、少しの間沈黙が流れた。

それが何となく気まずくて、嫌で、必死で話題を探す。
 

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