君に惹かれ、君を恋う【完】



「あ、開場したみたいですよ」



話していれば会場に人が入っているのが見えた。



「本当だ。行こうか」



斉藤さんがそう言って一緒に会場の入口へ向かった。


ホールへ入ると外から見た通りこじんまりとした会場だった。



「意外と人いるんですね」



席に着きながら周りを見れば、席が結構埋まっているのが分かった。



「我が子の晴れ舞台だから親が見に来るんだよ」

「なるほど」

「私も孫の演奏が楽しみだよ」



斉藤さんは笑いながら言う。


そう。私達は今日斉藤さんのお孫さんの千代ちゃんと千佳ちゃんのピアノ教室の発表会に来ている。

小学生の演奏なんて滅多に訊けないので少し楽しみだ。



「薺ちゃんは発表会とかなかったのかい?」



プログラムをぱらぱらと見ていた斉藤さんがそれとなく訊く。
 

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