君に惹かれ、君を恋う【完】



「誰かを想っているのかしらね」



笑っていたかと思えば母はどこか切なそうに呟いた。



「……どういうこと?」



理解が出来なくて問えば、曲の解釈ね、と母は言う。



「愛の夢はそのままの意味だけれど、きらきら星もラブソングなのよ?」



まだ大学生なのに艶っぽいわね、笑いながら言う母の言葉に手が震えた。


もしかして、と思う自分がいる。

自意識過剰だと言われるだろうか。

あんな勝手な事を言っておいて、どうしても彼女を手に入れたいと思ってしまう僕は本当にどうしようもない。


この後も彼女の連弾があるというのに、僕の耳は、心は保つのだろうか。



「あぁ、どうしてくれるの。もう、抜け出せないよ」



両手で顔を覆い誰にも聞こえない、消え入る声で呟いた。
 

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