君に惹かれ、君を恋う【完】

最終楽章 /ナズナ


演奏会が全て終わり、丘へ向かう。


彼との繋がりはあの丘と、この前偶々桜を保護してくれた時にかけられてきた番号のみ。

電話をかけるなんて出来る訳のない私は丘に向かう以外、思いつかなかった。


あぁ、緊張する。

彼はちゃんと来てくれたのだろうかという不安と、演奏を聴いて貰えたのなら私の想いは伝わったのかという不安とで吐きそうになる。


思いながら向かえば、案の定いつもの大きな木の下にあるベンチにハルさんはいた。

いつもと違うのは着物ではなく、一昨日も見たカジュアルな洋服を着たハルさんだという事だ。それに更に緊張する。



「ふふ、やっぱり来たね」



ベンチの傍まで来れば、私に気づいた彼は笑って言った。


あぁ、この笑顔だ。この笑顔が見たかった。

一昨日は迷惑をかけてしまった申し訳なさで一杯で、ついさっきも緊張で心臓が止まりそうだったが、笑顔を見れてどこか少し安堵した。
 

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