君に惹かれ、君を恋う【完】



「アキも何か言ってよ」

「まあ本人が良いって言ってるんだったらいいんじゃない?」



言えば兄貴は溜息をついて薺を追いかけた。


1年間の留学を終えてそのままウィーンで2年間プロ活動していた薺は昨日、日本に帰ってきたばかりだ。

音楽業界では日本に戻るなんて勿体ない、なんて言われていたりする。


そして昨日、帰国した薺を空港に迎えに行った兄貴は薺を連れてそのまま役所に向かったらしい。

急ぎ過ぎじゃないか?と思ったが3年間も時差12時間もある遠距離恋愛をしていたのなら無理はないなと納得。




「にしても、皆、こんな二人を見たらどう思うんだろ」



仲良く洗濯物を取り込んでいる天才と世界中で言われている二人を見て、ついさっき可哀想だと思ったが前言撤回だ。


とても幸せそうな二人を知る俺は世間様に勝った気分だった。

 

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