君に惹かれ、君を恋う【完】

第一楽章 /フリージア


講義やソルフェージュなんかよりも好きなレッスンの時間。

私は先生と口論していた。



「小林、本当にこれで良いのか?」



眉間にしわを寄せて訊く先生の言葉に、



「はい。いいです」



当たり前のように答える。


レッスンが始まってから15分。

その間にそのやり取りを既に数回繰り返した。



「海外に行った方が演奏の幅が広がるぞ?」



そして、いつもの言葉を私に放つ。



「別にいいです」

「本当か?」

「……今は、いいです」

「そうか」



私の言葉に眉間に皺を寄せる担当教諭の矢崎先生は一言呟いた。



何故今こんなことになっているのかというと、私がコンクールへ出場すると先生に伝えたからだ。


前からコンクールに出場することは決めていた。

その出場するコンクールを日本で行われる国際コンクールに決めたことを先生に伝えたのだが、同じ時期にヨーロッパで行われる大きなコンクールに先生は出て欲しかったようで何故か、渋っている。

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