君に惹かれ、君を恋う【完】


確かに言ってたのはそれだけではないけれど、私の言った言葉も嘘ではない。


しかし、彼女はこのコンクールには出ないみたいだ。

ライバルがいなくて安心したような残念なような、そんな気分。



「結果はどうせ分かりきっていることだけど、この前の定演みたいな“勉強不足な演奏”はしないでよ」



まりあちゃんは最後の最後に嫌味を言い残し、次の授業へ向かった。


この前の演奏は大半の人は満足してくれたみたいだが、まりあちゃんの言うとおり勉強不足でとても後悔をしている。

同じ過ちを繰り返さないように、ちゃんと勉強しないと。


やるからには、上を目指すのだから。


当たり前なことに今更気がつき、今更気をつけ出すのもどうかと思うが、また一つ成長したんだ。



「さあ、バイトに行こう」



些細な成長すらも少し嬉しくなって、軽い足取りでバイトへ向かった。

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