君に惹かれ、君を恋う【完】

第一楽章 /シバザクラ


コンクール予選まで残り一週間を切った最近は更に鍵盤に触れる時間が増え、それに伴って大好きなあの丘で過ごす時間は自然と減っている。

しかし、その僅かな時間でも丘に行くとハルさんに会えたことが何よりの救いだと、私は思う。


最後にあそこへ行ったのは何時だろうか。

最後に彼に会ったのは何時だろうか。


そんなことを考えながら今日も音を鳴らす。



私がコンクールに出場するという噂は三日も経たないうちに学校中に広まり、更にはいつも取材に来るメディアの方にまで情報が行き渡ってしまっていた。

先日そのことについて学校へ取材に来たのだが、コンクールが近いので、と言って丁重にお断りをした。

きっとコンクールまで時間があったとしても、曲もまだ仕上がっていない状況で堂々と質問される暇があるならとにかく練習がしたいと断っていただろう。


どう回避しようか、そんなことを咄嗟に考える程私はメディアが苦手だ。

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