君に惹かれ、君を恋う【完】

第一楽章 /アルメリア


明日はコンクール一次予選。とうとう始まってしまうコンクールに私の中では少しの緊張と憂鬱な気持ちが混沌としていた。

コンクールに出ると決めたのは自分だというのに、困ったものだ。



今回コンクールに出ようと決めたのは今までの自分を変えたかったから。


今までは先生に薦められてコンクールに出ていたものの、自分から出たことは今まで一度もなかった。出ようと思わなかったのだ。

それは幼少時代も小・中学時代も、そして音楽の道へ本格的に進んだ高校時代もずっとそうだった。


自分が弾きたいように弾けなくて、皆からの目が怖いコンクールからずっと逃げていた。


作曲家の想いの詰まった譜面を正確に読み取って弾く技術を計る事も、評価するその張り詰めた空気も怖くて、嫌で、逃げ出したくなるその場所には立ちたいと思ったことがなかった。


ずっと自分の弾きたいように、弾きたいときに弾いてきた。これからも今まで通り弾いていきたいと思っていた。



けれど、いつまで経ってもそれでは駄目なんだ。

このままでは私の理想とする音楽家にはなれないと思いコンクールに出るに至った。
 

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