無敵のビーナス 1【完】

波乱の幕開け /4

放課後のホームルームが終わり、帰り支度が終わってない私は慌てて荷物を鞄に詰め込んだ。



いつもは直ぐに帰ってしまうクラスメートが、何故か廊下でガヤガヤと騒がしい。



愛美と一緒に帰りたかったけど、部活に入っているらしく部長に呼ばれてバタバタと教室を出て行ってしまった。



部活かぁ・・・



何部に入ってるんだろう。



立ち上がろうとした私の頭上から聴こえた小さな笑い声。




「そんなに急がなくて大丈夫なのに」



耳に響く甘い声音に顔を上げると、キラキラと音がしそうな程の笑顔を浮かべた空ちゃんが立っていた。




「あれ、もしかして忘れてた?」



一緒に帰ろうって言われたけど、本気とは思ってなかった。



アウトって言われた時は、正直ビクッとしたけど、あの後の会話に昨日の事は出てこなかったし・・・



『人に話すなよ』


と釘を刺す為に生徒会室で話をし、全て終わった。



そう思っていただけに、空ちゃんの登場は予想外過ぎて慌ててしまう。



しかも、教室までお迎えって勘弁してよ。



さっきから騒がしかった周りの反応は、廊下で見掛けた特Aの生徒会長様への反応だったと思えば納得だ。



そう言えば、今更だけど黄色い声が多かった気がする。




「まさか、僕から逃げる為に急いでたんじゃないよね?」



考え事をして返事をしない私に声のトーンを下げた空ちゃんは、質問と言うより



『そんな訳ないよね、許さないよ』



と言いたそうな視線を送ってきた。




「まさか、違いますよ。ただ、本気とは思って無くて・・・」



「冗談だと思ってたんだ?」



「済みません」



「ふ~ん、じゃ覚えてて。僕は冗談なんか言わないから」



「はい」



「それと、同じ事を2度言わせないで」



ぐっと低い声音に、私の身体が竦んでしまう。


こっ、怖い・・・


トキは?助けを求めるように周りを見渡すけど、トキの姿は見当たらない。



「僕と2人じゃ、不満?」


口調に反して、声音に苛立ちを感じる。


怖いよ、・・・

一緒に帰りたくないよ。


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