きす X はぐ【完】

きす X はぐ /なりましたッ!





次の日。




いつもより10センチほど短いスカートを押さえて廊下を歩く。



長い髪を揺らして歩くのははじめての経験で、緊張する。




昨日朱里に指導された歩き方。




…ちゃんとできているんだろうか?





「…うわ、かわい。」



「だ、だれだよ、あんな子いたか?」



「かわいい…」




ヒソヒソと聞こえてくる声に心臓が高鳴る。


お、オレのことだよな?!





誰一人コレがオレだと気づいていないらしい。



初めて向けられる男からの熱っぽい視線は案外気分がいい。



すげーんだな、女って。






教室に入ると、ざわめきはなおさら。




「だ、だれだ?!転校生?」


「え?朱里、あずちゃんと一緒じゃないの? 」






いや、一緒だから。




みんなのそんな声に答えることはせず、
長い黒髪を靡かせ、向かうのは当然。







「おはよう、陽向。」




顔をうつ伏せて寝ていた、奴のもと。



陽向はダルそうに頭をあげると、驚いたように瞳をすこし大きくさせる。





朱里に教わったとびきりスマイルを顔に張り付けているものの、


ほんとは心臓がバクバクいって仕方ない。





クラスメイトは
なぜ陽向に挨拶するのか?とこちらを注目しているし。



陽向は眉間にシワを寄せて、オレを凝視してくる。




も、もしかして。

陽向、オレって気づいてない?





「あ、あの陽向…オレ…」



「なにしてんの、あずさ。」



「っっ!」




よ、よかった…気づいてはくれてた。




そうと分かれば、勇気百倍!




オレは大きく胸を張ってみせる。



もちろんその時は内股で…





「どうだっ……じゃなくて、

どうかな?陽向のために…ー」

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