初恋みるく【完】

2nd:くすぐったい関係 /じゃれネコとの戯れ方

律side



いつから気になったかと聞かれれば、

入社してきたあいつを見たときから。




すらりと伸びた手足に、小さな顔。
大きく黒目がちな二重は、ふわふわとした印象を与える。



正直いって、好きな顔だった。




とはいえ、顔が良くても中身で幻滅する女なんていくらでも見てきたし。


一目惚れなんて信じない。ましてや、部下との間に色恋沙汰を持ち込むとかあり得ないだろ。




案の定、そいつは
高校時代に俺に告白したと宣言し、そして、そのとき適当に言った


"また会えたら付き合ってあげる"



そんな言葉を本気で信じていたようなばか女だった。



顔が好みなだけに、余計に腹だって。



いつもだったら、笑顔の仮面をつけて、優しくあしらう。


だが、なぜかこいつは例外で。


ひどい言葉と態度を見せて苛めてみると、呆然とした顔で立ち尽す女。




ざまあみろ。



彼女の唇を噛み締めて悔しがるその表情に、やけに達成感がわいた。




ばか女...だけど、苛めがいはあるかもな。




なんて、小さく口角は上がった。





それから、心愛がばか女の汚名を返上するのに時間はかからなかった。



彼女が初めて持ってきた作成資料。


そのセンスに、惚れた。




ばかだと思っていた、入社トップは、
その確かな実力で、この俺の心を動かした。


いままで、自分の出世しか考えていなかった俺が。


初めてだった...




誰かを育てたいと思ったのは。



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