初恋みるく【完】



「遅い。ラインしてから10分な。」




黒いBMWの助手席に乗り込んだ瞬間、愛しの彼氏様にそんなことを言われる。



「これでも走ったんですよ?」


「あっそ。」



あ、会話終了させた。


律先輩は、簡素な一言ですぐ口を閉じて、前に向き直り、私に横顔を向ける。


弁解させてくれてもいいのにさ。
言い訳不要ってこと?


文句を言葉にはしないけれど、恨みがましく先輩を睨みながらシートベルトを締める。


すると、それに気がついたらしい彼は、面倒くさそうに眉間を寄せてから、仕方がないといった様子で口を開いた。






「チッ…お前が悪いんだろう。

会いたくて早めに仕事切り上げた俺がバカみたいだろうが。」


いつも余裕な先輩のそんな一言。

仕事では絶対に見せることのない、ほんの少し子供っぽい顔。
そんなの、カッコよすぎる。好きすぎる。


「…はい、ズッキュン!」



心臓を押さえて、そう叫ぶと怪訝な表情が帰ってきて、



「私なんて、プレゼン終わるの一週間待ってたんですよ?
律先輩より、待ち時間長かったもん。」



「ばーか。俺は2ヶ月前から待ってた。」


ふっと、小さく微笑みながら、エンジンをかけた先輩は、エンジン音にかき消されるような微妙な声で


「ほんとは今日告白する予定だったのに。」


って一言付け加えた。

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