初恋みるく【完】

4th:恋は狂おしい /波乱の始まり


師走。その名の通り,和尚も走りだすほど忙しい時期。

例にもれず,我が部署もばたばたと業務に追われていた。



「高梨。部長が呼んでる。」


「はい。ありがとう」


部長室から出てきた入山が私にそう伝言し,併せて怪訝そうな瞳を向ける。


…大丈夫だよ。仕事中に変なことしないもん。


会社で唯一私たちの関係を知っている入山のその瞳に苦笑いしか返せない。


伝言どおり部長室に向かい,ノック2回。


「高梨です。」


「どうぞ,入って。」


「失礼します。」


重いドアを開けて中に入る。


「お疲れ様。忙しいとこ悪いんだけど,これとこれについて,情報集めて資料にまとめてくれないか?」


「はい。期限は…?」


「今週末までに頼む。」


今週末…今抱えている業務のなかにも今週末締め切りの調査ものがいくつかあった。


…今週は残業がんばろう。


心の中でそう呟いていると,部長から「高梨。」と名前を呼ばれた。


「はい?」


返事とともに首をかしげて相沢部長のほうを向けば,くいくいと手首を上下し,近づくように要求する。


されるがままに彼に近づくと,



「帰るとき教えろよ。おまえに合わせて帰るから。」


「え,いいんですか?」


「当たり前だろ。夜道歩かせたくない。」



うう…キュン。

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