初恋みるく【完】

5th:優しさに揺れる /支えられる心


「…グス…」


「…ちょっとは落ち着いた?」


「…ん。ありがとう。」


涙をぬぐいすぎて、袖口がビチャビチャ。気持ち悪い。


「…ふっ、まだ出てるじゃん。」


小さく笑って、入山は袖口で私の目元を拭った。


その仕草が、少し大人っぽくてなぜか緊張。


誰もいない公園のベンチに座る私たちの間を冬の冷たい風が通り抜けて、


ずっ、と入山が鼻をすする音が鼓膜を揺らした。


「…入山、ごめんね。
そろそろコート返すね。」


「いや、大丈夫。
コンビニ暑かったから。」


…うそだ。
パーカーの袖口を伸ばして、指先を隠す仕草。寒くないわけない。


「入山くんがいい奴すぎて辛いです。」


「何言ってんだよ。」


「もう、疲れたなぁ」


「……部長?」


…こちらを向いた入山と目があって、一瞬時がとまる。

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