初恋みるく【完】

5th:優しさに揺れる /別れのカウントダウン


見慣れ始めたインターフォンを押すと、家の中から駆けてくる足音が聞こえる。


玄関が開くと、笑顔の彼女。


「おかえり、律くん!」


「…ん。」


エプロンをした佐月は、嬉しそうにスリッパを足元に並べる。


「もう、合鍵渡すっていってるのに…」

「…別に佐月がいる時にしかこないし。」

「…そうだけど、ここから会社通勤したほうが早いし、私としてはこっちに住んでくれたほうが嬉しいし…なんて。」


佐月の家に住むつもりないし。

溜息を飲み込んで、スリッパに足を入れる。


「お風呂沸いてるよ?
ご飯ももう直ぐできるけど…」


「じゃあ、飯で。」


「了解!じゃあ、ソファーでゆっくりしてて?」


言われた通りにソファーに座り、キッチンで動き回る彼女を眺める。


…最近、俺、料理作ってねーな。

そんなことを思い出し、頭に思い浮かべるのは、料理のできない心愛の顔。


料理が壊滅的にできない彼女が申し訳なさそうに、皿を運んだりする姿が好きだった。

少しでも役に立とうと料理以外を一生懸命する彼女が健気で可愛くて…


ちゃんと飯食ってるかな…


そんなことを考えて、自分への嫌悪感で頭を振る。


そんなことを俺が心配する筋合いない。

0
  • しおりをはさむ
  • 555
  • 813
/ 539ページ
このページを編集する