初恋みるく【完】

5th:優しさに揺れる /ゆらゆらクリスマス

***心愛サイド***

「心愛!なべ、なべっ!
吹き出してる!!」


「へ…?きゃああっ!!
って、熱っーー!」


吹き出す鍋を鎮めようと、掴んだ鍋ブタが熱すぎて飛び上がる。


「…この、ばか!火を消しなさいよ!
素手でふたとるやつがあるか!」


慌ててこちらに向かってきた親友の礼羅がコンロの火を消してくれた。


今日の夕方、仕事を早めに切り上げて業者さんに荷物を運び込んでもらった部屋は会社から近い場所にあるマンションの4階角部屋。

ワンルームだけど、白を基調にした綺麗な内装で、4月に住みかけたオンボロアパートとは似ても似つかない。


この家の初めての来客となった礼羅に手料理を振る舞おうと、張り切って材料だけ買ってきたものの、大失敗。

包丁で手を切るし、野菜は焦げるし、パスタは半分くらいこぼすし…

最終的に見かねた礼羅が手伝ってくれて、何とか出来上がったパスタは、焦げまくった野菜の苦味を礼羅の味付けで辛うじて食べられる代物になった。


2人で並んで、紙皿にのったパスタをすする。


「あ、なんとか食べれる〜、感動!
まさか、あんたの料理下手がここまでとはおもわなかったわ。
見届けようと途中まで我慢してたけど、心臓に悪すぎて手を出しちゃったじゃない!」


「…えへ?それほどでも〜」


「それ、褒められた時に言うセリフだし、それほどだわ!」


厳しいツッコミが入ったところで、もう一口。

さっきから無意識に自分が切ったバラバラの大きさの野菜を避けながら食べてるのが尚更悲しい。

あんなに時間かけて切ったのに…


「まあ、こればっかりは練習あるのみよね。
ほんと、あの時律先輩に拾ってもらえてなかったらあんたのたれ死んでたか、火事起こして死んでたわね。」


「ひどすぎる…」


本日も毒舌全開の礼羅さま。

でも、慣れない一人暮らしで心細いところに、無理やり電話で呼び出したから強く反発できない。


「…ところで…」


真剣な口調になった礼羅に何となく聞かれることがわかって俯く。


「律先輩とはちゃんと別れたの?」

「…」

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