初恋みるく【完】




「おい、スーツしわになるぞ?」



低く響くその声に振り向くと、



「...っ」



部屋着まで完璧に着こなす相沢先輩。


足長っ、メガネ萌え!



雑誌から飛び出てきたくらいの美しさに、一人悶える。


イケメン...って罪...






「何見てんだよ、キモい。」


「き、きもって...部長、酷いです!」


睨みあげると、表情を変えることなく、メガネを上げる。



「その、部長ってのやめろ。」


「え、なんでですか?」


「仕事モード、疲れるだろうが。」



そう言った先輩は気だるそうに、隣に腰かける。

その姿からは、すでに猫かぶり上司の面影は消えていて、無愛想な男の顔。


いままで、気を使って部長という役職で呼んでいたこちらとしては、元々慣れ親しんだ呼び方で呼べるのは逆にありがたい。




「じゃ、相沢先輩で。」


「ああ、そうか。後輩だったな、お前。
でも、名字もやめろ、疲れるんだって。」


「じゃ、りっちゃんで!」


「......死ね。」




人差し指を前に出して、にっこり笑ってみたのに、...ジロリ睨まれ、笑えない。



「うう、じゃあ...律先輩で。」


「...まあ、いいか。他人と暮らすんだから、このくらいの堅さは仕方ない。」



このくらいの堅さ、とは
"先輩"って部分だろうな。



そうは言われても、いきなり
律...なんて、さすがに呼べない。



律先輩も、おそらく呼び捨てに違和感があったから、先輩付けにOKしたんだろう。

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