初恋みるく【完】

ーコンコンッ



ドアをノックする音が聞こえて、そちらに顔を向けると、そこから顔をのぞかせたのは入山だった。


「お疲れ様です。今よろしいですか?」


「どうした?」


「高梨のことです。」


「…っ」




見るからに動揺する俺を小さく笑った入山はゆっくりこちらに近づいてくる。


「高梨が何故階段から落ちて骨折したのか聞きましたか?」


「…は?何故って…どういうことだ?」



踏み外したとか…そういうことじゃないのか?



恐る恐る訊ねると、入山は眉間にしわを寄せた。


「俺も高梨から直接は何も聞いてません。」


「…そうか。」


「ただ、昨日…お昼に佐月さんが訪ねてきて…」


「…っ?!」


なんで、そこで佐月の名前が出るんだ?

まさか…っ



「その後、高梨が病院に運ばれたと連絡がありました。…佐月さんから。」



目の前がちらつきだした。


まさか、佐月が心愛を…?

そんなことないと思いながら、頭のどこかで、今の佐月の精神状態ならありえると思わざるを得ない。


もし、そうだとしたら…



「佐月さんには失礼かもしれないですけど…
高梨に彼女に突き落とされたんじゃないか?って問いただしました。」


「…それで?」


「高梨は違うって首を振りましたけど…
病院ですれ違った時の佐月さんの様子がおかしくて…やっぱり2人の間で何かあったんじゃないか?って思ってます。俺は。」



真剣な顔の入山を真っ直ぐに見つめて、溢れそうな感情をギリギリのところで抑えて、震えそうな声を出す。




「……入山。心愛の自宅の住所知ってるか?」


「…はい。でも、教えません。」


「…何故だ?」


入山を睨むと、怯むことなく睨み返してきて、


「未だに宙ぶらりんなあんたに高梨を幸せにできるなんて思えない。
高梨がそれでもいいと言ったって、俺は絶対に認めない。」


力強く言った入山に俺は視線を外して俯いた。



「誰のせいで…高梨と…あと、佐月さんが苦しんでるか。…部長はわかってるはずです。」



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