初恋みるく【完】

SS:初恋の奇跡 /心愛の手料理



「りっちゃーん!」


「…おい、走るな!」



私のマンションの下で待っていた律先輩の車に駆け寄ると、


先輩は驚いた顔をして、目の前に来た私の頭を「ガキか。」と言いながら、かるーく叩いてきた。


「むー、痛いー…」


唇を尖らせて、抗議すると「痛くないように叩きました。」と、なぜか敬語で返された。



「いいから、…ほら、早く乗れ。」


「うん!ありがとう!」



促されるままに助手席に乗り込むと、先輩も運転席に戻り、目的地に向かって車がゆっくりと発進する。


久々のドライブだ!と喜んだのもつかの間、先輩は不満げにまた小言。



「お前、ギプスとれたからって調子乗るなよ?リハビリまだしてるんだろう?」


「もう…心配性だなぁ〜。
リハビリも昨日で最後だったし、先生にももう完治だって言われたんだから。」


今回の骨折で、先輩は意外と心配性だってことがわかった。


心配してくれるのは嬉しいけど、ちょっとしつこいんだよなぁ〜


でも、もし先輩が骨折したら私だって心配しまくるだろうから、仕方ないか。



「お前は危なっかしいんだよな〜。
今日も本当に大丈夫か?」



「…うう、足は大丈夫だけど、それは大丈夫じゃないかも!」



ペロッと舌を出しておどけると、「おい。」と呆れたように怒られる。



だって〜正直自信ないんだもん…



今日は日曜日。


先輩のために手作り料理を作ると約束をしてから1週間。


毎日練習しているものの、未だ成功していないのだから、自信なんてある方がおかしい。


病み上がりの足を気遣い、スーパーへの買い出しに付き合ってくれる優しい律先輩なら、きっと美味しくなくても許してくれそう…なんていう、甘えもあったりなかったり…



「一緒に作ればよくないか?
これ以上けが増やしてどうするんだよ。」


不安げな律先輩にムッと膨れる。


「けがするって決めつけないでよ!
嫌だ!先輩に作ってあげるって決めたんだから!」


両手に拳を作ってやる気を見せつけると、何を言っても無駄だとわかった先輩は、「あー、はいはい。」とたしなめた。



うう〜!バカにしてる!!
もしかしたら成功するかもしれないじゃん!


…絶対美味しいって言わせるんだから!



闘志メラメラで、スーパーという戦場に向かった。

0
  • しおりをはさむ
  • 547
  • 804
/ 539ページ
このページを編集する