初恋みるく【完】



「お前、もう座ってろよ。飯できるから。」



無表情でそう言って、味噌汁をかき混ぜる先輩。


低血圧ですか、律先輩。
それなら、血圧上げてあげなきゃ。



にっこり笑顔の私は冷徹男に懲りずに話しかけ続ける。





「普通、女の子にベッド譲りません?」


「ああ?居候のくせになめた口利くな。」


「むっうううう!」


「なんなら、一緒に寝るか?」


「...っ?!!」





手元で作業を続けながらの流し目に、息の根を止められる。



な、な...なあああ!!

イケメ...ンっ




「す、座っときます。」




先輩の素敵なご冗談に、素直に真っ赤な私はすでに完敗で、クスクス笑う先輩を背に、


リビングに撤退した。





悔しい。手の上で転がされてる。
まんまと好きになりそうになる。



耐えるの。素敵な彼氏を作るの!
先輩を凌ぐイケメンを捕まえるの!




...って、無理じゃない?



座ったテーブルの前から、振り返って見上げた律先輩の顔を見て...ため息。



いいな、あんな顔に生まれたい。
あんな子、産みたい。



顔だけできゅんきゅんする。


ちょっと性格歪んでるけど、
彼女には優しい、とかだと最高だな。




その発想に至って、チクリと胸が痛む。



律先輩が、彼女さんに愛の言葉囁いてるの...とか、見たくないな。



なんだか、少しだけ泣きたくなって唇を噛んだ。




やだな、やだな。



自分、コントロールしたい。
好きじゃない、好きじゃない。



初恋の人が、たまたま困ってるとこ助けてくれたから、動揺してるだけだもん。



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