初恋みるく【完】



後悔した。


謝ればよかったって。



遠退いていく先輩の背中に、声をかけようにも、何て言ってよいのかわからなくて。


絶対に聞こえない、消え入るような小さな声で。



「律、せんぱい...」




そう、呼ぶことしかできなかった。






1人取り残されたオフィスはやけに静かで、怖くなる。



パソコンのキーを叩く音だけが響いて、息をするのも躊躇われる静けさ。




先輩、怒ったかな。
優しさで残ってくれてた先輩の気持ち、
踏みにじっちゃったよね。



申し訳なさと、心細さで、
パソコンの画面がにじんでいく。




「あー、バカなの、私は...
仕事中だし、早く終わらせなきゃ。」



言い聞かせるように声に出した言葉は胸に響くことなく、宙に消える。



0
  • しおりをはさむ
  • 565
  • 820
/ 539ページ
このページを編集する