初恋みるく【完】

1st:二度目の初恋 /痴漢と、それが及ぼした芽生え







すべての仕事が終わったのは10時過ぎ。


ここから、律先輩のマンションに帰りつくのは徒歩と電車を合わせて一時間弱だ。



節電のため、暗くなった廊下にビクビクしながら、戸締まりをして、


店の明かりを頼りに駅まで歩く。



朝、入山と歩いた道は、やけに遠くて。



もともと苦手な暗がりが、本当に怖い。



駅について、電車を待つ。


私同様に、残業上がりのサラリーマンが辺りを占めていて。


到着した電車のなかも、サラリーマンが大半を占める。



朝の痴漢の件もあり、少し乗るのに躊躇ってしまう。



でも、乗らなきゃ帰れないし、
帰って律先輩に早く謝りたい。



意を決して乗り込んだ満員電車。



部活終わりの学生もいるらしく、車内は人の臭いが充満する。



電車の端を陣取って、窓の外に顔を向けて、その臭いから気持ちだけでも逃げてみる。



はあ、早く帰りたい。


先輩に謝って、怒られても謝って、
冗談言って、笑ってほしい。



会社の人当たりのいい笑顔じゃなくて、


ちょっと意地悪で、我慢出来ないように吹き出すあの顔が好き。



私しか知らない、ほんの少しだけ幼い
本当の笑顔。




それを見たいの。





いつのまにか、先輩のことばかり。


どうして私はこんなにも先輩ばかりなんだろう。



一度フラれてるのに。

片想いの辛さを知ってるのに。
先輩の一言に振り回される辛さも知ってるのに。





あーあーあーーー!




好きにならない方法が知りたいっ!





バカなことを考えながら、
ため息をついた、そのときだった。






「...っぇ...」




フラッシュバックのような感触がお尻に触れた。

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