初恋みるく【完】


しばらくすると、体育座りで唇を尖らせる私の頭の上にぽんっと優しく手のひらが乗る。



振り返ってみれば、ふっと大人の微笑を浮かべた律先輩がいて。





「笑って悪かったよ。
残業お疲れ。飯、出来てるから食え。」


「......はい。」




その笑顔で...全部帳消し。


ずるいなあ...本当に。




気がつくと、部屋中にいい香りが漂っていて、途端にお腹が減り出す。



「今日は...シチューですか?」


「ああ、鼻が利くな?デブかっての。」


「えへへ」



照れて見せると、「いやいや、誉めてねーし。」と突っ込まれて。



いつもの雰囲気に戻っている。




「わー、シチューいっぱい!
食べきれますか?」


「明日の朝もこれだ。牛乳の消費に手を貸せよな。」



牛乳の...消費?


シチューを温めながら、顔を歪めた先輩に首を捻ると、




嫌々ながらに、ことの真相を教えてくれた。





「牛乳。...お前のせいで買いすぎたんだよ。」


「...っ!」



「責任とって、腹壊すまで飲めよな、心愛」




ばつが悪そうに、頬を掻いた先輩を見つめながら、両手を握り会わせる。


夜、寝る前にホットミルクを飲まないと眠れない私のために買いすぎた牛乳。



胸にじーんと、熱いものが込み上げて、ドキドキする。






「......はい。飲みます。」







すき、大好き。律先輩が大好きです。



ついに、認めたこの気持ち。

痴漢のち、...二度目の初恋です。



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