何度でも君に恋をする。

【another story】男の子の場合④ /総合2128位感謝*記念

男の子の場合。


*****



「そんなに硬くならなくて大丈夫」



君はそう言うけれど。


「親御さんに会うんだから緊張するよ」



君を生んでくれた人たちだから。







「彼と結婚したいの」



どこまでも、君が、真っ直ぐだから。



「娘さんを必ず幸せにします」



僕もご両親を真っ直ぐ見つめることが出来た。







「どっちのドレスにしようか迷う」



黄色と薄桃色のドレスを手に悩む君と。



「どっちを着ても可愛すぎて困るな」



お色直しを増やすべきかと真剣に悩む僕。







「今日は一段とかっこいい」



ウェディングドレスに身を包んだ君は綺麗すぎて。



「今日は一段と綺麗だ」



ああ、今日だけは、素直に言葉が溢れる。







「…誓います」



そう言った君の声はいつもより少し震えていて。



「誓います」



そう言った僕の声は思ったよりずっと力強かった。







「好きだよ」



慣れた口調で微笑む君に。



「僕は大好きだよ」



僕も言い慣れた言葉を口にする。







「宜しくね、旦那さん」



一生君を守ると誓うから。



「宜しく、僕の奥さん」



どうか末永く、側にいて。







「いってらっしゃい」



エプロン姿の君が指輪を嵌めた手を振るから。



「いってらっしゃいのチューして?」



僕らしくはないけれど新婚らしいことを言ってみる。







「お弁当の卵焼きしょっぱかったでしょ」



しゅんと肩を落とす君があまりにも可愛いから。



「愛妻弁当って同僚に自慢しちゃった」



塩辛い卵焼きも好きってことはまだ言わない。







「今日も遅くなりそう?」



少し拗ねたように尖る奥さんの唇に。



「今日は記念日だから部長張り倒してでも帰って来るよ」



僕はいってきますのキスをする。







「今日はなんかの記念日だっけ?」



奥さんが不思議そうに皺を寄せた眉間に。



「僕の一目惚れ記念日」



僕は早く帰って来るねのキスをする。







「…指輪失くしちゃったみたい」



君がぽろぽろと零した大粒の涙に。



「指輪なんて何度でも買うから泣かないで?」



僕はおろおろと君の周りを行ったり来たり。







「酔っ払ってるじゃない!」



日付けが変わっても起きて待っていた君は。



「ちょっと仕事で……、」



珍しく泥酔した僕に失望するだろうか。







「頑張りすぎなくていいんだよ」



ああ、君を守ると誓ったはずなのに。



「ありがとうっ…」



僕は守られてばかりだったね。




0
  • しおりをはさむ
  • 55
  • 1218
/ 134ページ
このページを編集する