キスと嘘と甘い火遊び

再会と嘘と甘い火遊び /読者600人様感謝*記念

「専務、お待ちしておりました」

「出迎えどうも。今回は簡単な視察だから、あまり気張らなくて構いませんよ」

「はい。では早速、各フロアのチーフがご案内致します」

「ええ、頼みます。まずはこの階から始めましょうか」

「わかりました。数分外させてください。有村さん、資料の説明をお願いします。では失礼します」

「……こちらが資料になります」

「ああ。ありがとうございます、“有村さん”」

「(……なんでこの人が専務なの!?)」

「どうかしました?」

「い、いえ、大丈夫です」


「体調がすぐれないなら“救急車、呼びましょうか?”」


「、」

「なんてね。冗談だよ」

「……こちらが資料になります。1頁目は当支店のノルマ、方針について。2~9頁が各フロアの詳細になっています。地上1階の説明は3頁目にありますので、ご参照ください」

「くっくっ、」

「…、」

「そんなに睨まなくても、支店長なら緊張のあまり胃の具合が悪そうだから暫く戻らないよ」

「……なんであなたがここにいるんですか?」

「視察は責任者の義務だから」

「そういう意味じゃなくて…!どうしてあのとき専務だって黙ってたんですか!?」

「言ったからどうこう、というものでもないでしょう」

「そうですけど、」

「私は嬉しかったけどね?私に共感してくれる君の本音が聞けて」

「っ…、」

「ついでに今夜食事に付き合ってくれたら、より嬉しいんだけれど」

「……また遊び人後継者って週刊誌に叩かれますよ」

「構わないでしょう。お互い独身だ」

「私は困ります。なのでお断りします」

「そう、残念。因みに私は遊び人後継者らしいから、その日の気分を支店の評価に反映させるけどね」

「は、?」

「今日はブルーだな〜、有村さんのせいで」

「ちょっと!横暴すぎます」

「じゃあデートして。私と」

「…、」

「逃がさないよ」



『再会と嘘と甘い火遊び』



「……ご馳走様でした」

「ついでにこの後も付き合わない?最高級のホテル取ってあるけど」

「ッ、最低!帰ります」

「はは、冗談だって。送るよ、乗って」


割と本気だった、専務時代の葉山さんの話。





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