キスと嘘と甘い火遊び

【お月見】十六夜の月と嘘と甘い火遊び /読者1,000人様感謝*記念

「りぃ、これどうしたの?」

「白玉団子、のつもりです…、」

「いやそれはわかるんだけど、お菓子作りとか好きだったっけ?」

「ううん。お菓子っていうか、昨日、十五夜だったから。……と、……なって思って」

「ん?ごめん、聞こえなかった」

「だから、…………葉山さん、と、お月見したいなって」

「(……昨日は日曜日だったから、か)」

「らしくないね、こんなの」

「ごめん」

「……私こそごめんなさい。お団子食べながらお月見とか好きじゃないよね、葉山さん」

「そうじゃない…!そうじゃなくて、謝ったのは………寂しい思いさせてたんだなって思ったからなんだ」

「私には寂しい、なんて思う資格ないよ」

「……ごめん」

「…、」

「りぃの作った団子食べたい。ベランダで月を見ながら食べよう」

「椅子、ないよ?」

「立って食べればいい。その方がきっと、景色だって綺麗に見えるだろ?」

「………うん。ありがとう」

「嬉しかったよ。りぃが俺とイベントやりたいって言うなんて珍しいもんな」

「…、」

「(無視…、照れてるのか?)」

「持ってきたよ。外、行こう」

「重いだろ、貸して」

「ありがとう」

「いえいえ」

「サンダルもう一つ出すからちょっと待っててね」

「おー涼しいな」

「、夜の匂いがする」

「うん、するな」

「ふふ」

「え、俺何か変なこと言った?」

「ううん。月、綺麗だね」

「だな。俺には昨日の満月と変わらなく見えるけど」

「1日違うだけだもんね」

「りぃ、」

「ん?」

「十六夜の月の意味、知ってる?」

「意味?花言葉の月版、みたいな?」

「そう」

「月にも意味があるんだ、面白いね。教えて?」

「十六夜の月は、…躊躇う、揺蕩う」

「…、」

「俺みたいだな。優柔不断で、お前を選ぶことも手離すこともできないでいる、俺だ」

「……そんなこと、」

「ごめん。好きになってごめん。振り回してごめん。泣かせてごめん」

「葉山さん、やめて…」

「それでもりぃが好きだ。側にいさせて欲しい。だから、これからもイベントは一緒にやろう。このサンダルもずっと出しておいて」

「…うん」

「我儘で、ごめん」



『十六夜の月と嘘と甘い火遊び』



「葉山さん。月が、綺麗だね」

「はは、さっきも聞いたよ」

「(……この言葉の意味を、あなたは知っているのかな)」


葉山さんが十六夜に月見をし始め、りぃがサンダルを片付ける2年前の話。



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