キスと嘘と甘い火遊び

上の空と嘘と甘い火遊び /読者6,000人様感謝*記念

「今日はごちそうさまでした」

「ううん。久しぶりにりぃと飲めて良かった」

「………久しぶりって1ヶ月ぶりですよね」

「私にとっては相当なブランクだ」

「そう、ですか」

「うん」

「…、」

「…、」

「星、綺麗ですね」

「…、」

「葉山さん?」

「え?ああ、うん」

「今日もしかして体調悪かったですか?」

「…、」

「葉山さん?」

「え?ああ、うん」

「ごめんなさい気づかなくて!急いで帰りましょう。タクシー呼びますか?」


「好きだ」


「は?タクシーが?」

「りぃが」

「………………救急車呼びましょうか?」

「あの時と同じだな」

「もう!だから、」

「俺がりぃに一目惚れした、あの時と」

「ひとめ、ぼれ?」

「そう」

「……ちょっと整理させて。まず体調は悪くないんですよね?」

「うん。ごめん、さっきは話聞いてなかった」

「…、」

「どう告白するか必死で考えてた。ロマンチックな演出をしようかとか。でもりぃはそういうの嫌がるだろうなとか」

「、」

「結局、俺に出来たのは中坊みたいに緊張しながらやっとの思いで3文字を吐き出すことだけだったけど」

「…………葉山さん、」

「俺からも質問させて。りぃは俺のことどう思ってる?」

「どう、って…」

「俺はりぃが好きだから。りぃが俺のこと嫌いじゃないなら付き合って欲しい」

「……でも、」

「社内の立ち場は今は考えないで。俺のことをどう思ってるのか。それだけが知りたい」

「私、は、……最初は葉山さんのこと身勝手なお坊ちゃんだと思ってました」

「う、(…………毒舌)」

「でもよく知るとそうではなくて、遊び人を装って重圧と必死に戦っているとわかったから。本当は純粋で誠実な人だってわかりました」

「、」

「人一倍傷つきやすいのに、人一倍立ち向かっていく人だってわかりました」

「…りぃ」

「そんな気取らない葉山さんを自分でも知らない間に好きになっていたとわかりました」

「……………………………え?」

「私も、好きです。葉山さんが」

「え!?」

「でもやっぱり立ち場を考えないわけにはいかないと思うので。お付き合いのお話はもう少し考えさせてください」

「…………りぃ」

「はい」

「知ってる?俺がりぃに初めて会ってから仕事でも女性と2人で食事に行かなくなったこと」

「……噂は聞いたことがあります」

「俺がりぃを食事に誘うために仕事効率を改善したことで会社の利率が1.3倍になったって知ってる?」

「……数字自体は知っています」

「じゃあこれは知ってる?りぃが俺を好きだと言ってくれた奇跡に、泣きそうになってるってこと」

「……………そう、なの?」

「本当の俺はクールなんかじゃないから。りぃが絡むといつも必死なんだ」



『上の空と噂と甘い火遊び』



「あの、前にワイドショーで葉山さんに婚約者がいるっていう報道を見たんですけど…」

「そんなことまでやるんだ、あいつら」

「事実、なんですか?」

「いないよ」

「……良かった」

「(…………ごめん、嘘)」


最初は普通の恋人のようだったって話。



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