キスと嘘と甘い火遊び

同期と嘘と甘い火遊び /読者7,000人様感謝*記念

「フロアチーフに昇進おめでとう」

「ありがとう。有村さんの協力のお陰だよ」

「私は何もしてないよ。佐渡くんの頑張りの結果でしょ」

「いやいや、ありがとう。誘っておいてアレなんだけど、有村さんが飲みの誘いに乗ってくれると思わなかった」

「昇進祝いですから、ね」

「ダウトー」

「え?」

「前回は相談があるって言っても来てくれなかったのに」

「……………その節はすみませんでした」

「あ、……もしかして前回誘ったときは彼氏いたとか?」

「…、」

「しかも結構長い付き合いだったり」

「……どうしてそう思うの?」

「俺の数年に渡って飲みの誘いを断られ続けた経歴を舐めんなって話ですよ」

「…、」

「冗談だって。そんな顔しないで」

「彼氏じゃないよ」

「え?」

「片思いしてたから、他の男の人と2人で食事に行く気にならなかっただけ」

「ちょ、待って。話が…、」

「でも支店で唯一の同期なのに付き合い悪かったよね。ごめんなさい」

「え、有村さん彼氏いなかったの?」

「うん」

「え!?有村さん彼氏いなかったの?」

「うん。……ちょっと佐渡くん声大きいかな」

「(…マジかよ。何やってたんだよ俺)」

「(そんなに驚くことなのかな)」

「って、ん?片思い“してた”って?」

「ああ。もう過去のことだから」

「好きじゃなくなったんだ」

「ちょっと違うかも。うーん、……叶わないから諦めた、が正解かな」

「(有村さんに諦めさせるってどんだけスペック高いんだよ…)」

「……………………本当は、好きになっちゃいけない人だったから」

「え?」

「あ、ううん。何でもない」

「ごめん。ばっちり聞こえた」

「……忘れて」

「はいはい」

「…、」


「でもこれだけは言わせてよ。俺は“好きになっちゃいけない”人なんていないと思う。大事なのは好きな人の幸せの為にその気持ちをどう整理するかなんじゃない?」


「気持ちを整理…、」

「そう。有村さんが相手の為に諦めることを選んだのなら、それだって立派な“好き”の形だと思う」



『同期と嘘と甘い火遊び』



「………佐渡くん」

「ん?」

「ありがとう。そう言ってくれて」

「っ、……俺はずっと有村さんの味方だから」

「やっぱり同期っていいね」

「(……そうじゃないんだけどなぁ)」



りぃの周りはヘタレが多いって話。





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