キスと嘘と甘い火遊び

社長と嘘と甘い火遊び /読者30,000人様感謝*記念

「……ついにこの日が来たな」

「はい」

「私も父から受け継いだ会社だ。息子のお前に引き継げたことを嬉しく思う」

「………社長」

「その呼び方はよせ。これからはお前が社長だ。それに就任パーティーまでは無礼講だ。今くらい1人の父として息子の船出を祝わせてくれ」

「親父、」

「もっとも1人の父、というには私はお前に試練を与えすぎたのかもしれないな」

「…今ならわかる。上に立つ人間は会社や社員を守る為なら自分を犠牲にしなきゃいけないときがあるってことだろう?」

「ああ」

「若いときはこのくそ親父って思ったけどな。子供が出来たら俺も親父と同じ判断をするんだろうな」

「………変わったな。お前には驚かされてばかりだ」

「そうか?」

「変えたのは…女、か」

「…、」

「もしかしたらその女性を迎えた方がお前もこの会社も更に成長出来たのかもしれないな」

「は?」


「名家の令嬢を妻にすることは社にとって最大の利益になる。だが男にとっての最大の利益は自分を変えてくれる女を妻にすることだ」


「……今更何言ってんだよ」

「そうだな。だが私もお前から学ばせてもらったことはあるということだ」



『社長と嘘と甘い火遊び』



「ご就任おめでとうございます。……社長」

「ああ。今日までお前には苦労させたな」

「何を仰います。これからは今までとは比べ物にならない苦労を共に背負う覚悟です」

「ははっ、お前も大口叩くようになったな。この就任パーティーが戦いの始まりだ。行くぞ、高木」

「はい」


葉山さんが社長になった日の話。



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