キスと嘘と甘い火遊び

次世代と嘘と甘い火遊び /読者60,000人様感謝*記念

「親父、話って何だよ」

「……もうすぐお前も十六歳か。あんなに小さかったのが嘘みたいだな」

「…だから何なんだよ」

「来月の誕生パーティーで須田家の令嬢との婚約を正式に発表することになった」

「…、」

「身辺整理を済ませておけ。メディアに叩かれるような真似はするなよ」

「身辺整理?何が言いたい」

「一般人の女子生徒相手に好きだ好きだと付き纏っているそうじゃないか」

「っ、付き纏うって…、……人聞き悪い言い方すんじゃねぇよ。…初めて本気で好きになった女だ」

「じゃあ、その本気で好きになったってやつを今日で終わりにしろ」

「…親父に口出しされる覚えはねぇ」

「啓太、私はお前の為に言っているんじゃない。苦労するのは葉山の後継ぎに惚れられた相手のお嬢さんだと言っている」

「…、」

「分かっているだろう?婚約を破棄するという選択肢のない男に言い寄られても迷惑なだけだ」

「…、」

「相手が自分を好きになる可能性がない内に身を引いてやれ。……本気で好きだと言うなら尚更な」

「……うるせ」

「下手に露見したとき、世間から好奇の目で見られるのは彼女の方だぞ」



『次世代と嘘と甘い火遊び』



「……あれから随分経った。啓太、そろそろお前にも私の言葉の意味が分かってきたんじゃないか?」

「…ああ、…まあな」

「私も若い頃は決められた道に抗おうとした。だが結局は“葉山”の人間として生きる道を自分で選んだ」

「……親父、」

「葉山は変われない。代々同じことを繰り返してきたんだ。お前も親になれば今度は息子に同じことを強いるようになる」

「親父にも…諦めた人がいるのか…?」

「さあ。……昔の話だ」



葉山Jr.こと啓太の恋の話は別の機会にでも。



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