【完】歪愛


外にはなかなかちょうど良い場所がなかった。
昨日の記憶はないけど、だいぶ無理をしたらしく、体が痛くて長く歩くことは出来なかった。
疲れて近くの公園のベンチに座った。
どこへ行けば良いのか…、皆目見当もつかない。

公園では子供達とその親が数組いて、楽しそうに遊びまわっている。
昔は私の家族だってこうして私を遊びに連れ回してくれた。
いつからだろう、それがぱったりと無くなったのは。
それに気づいて、遊びに行こうと駄々をこねたら、お母さんに怒鳴られた。
その時、気づいていればよかった。
家族の崩壊が始まっていたことに。


「花絵!!」

成瀬の声がした。
振り向くより先にベンチ越しに後ろから抱きしめられる。
やっぱり、成瀬はバックハグが好きなんだな。

「また逃げやがって…、許さないって言ったよね?」

珍しく余裕の無さげな声で成瀬は言った。
走って探し回っていたらしく、息も上がっている。、

「…、蒼衣、もう私のこと嫌いになったんでしょ?首輪もつけてくれないし、寝るときも抱きしめてくれなかったもんね」


「はぁ?好きとか嫌いとかじゃねーよ。お前は俺のだ。」

「じゃあ、繋いでおいてよ…」

「なんで命令口調なわけ?とりあえず、部屋に戻るよ」

「相田くんから聞いたでしょ?私はもう生きられない」

「お前の命も俺のものだ。死ぬなんて許さない」


成瀬は私の手を掴むと、グイグイ引っ張って歩き始める。
空気でわかるけれど…、すごく怒っている。




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